タスマニアにやって来てから現在で3件目のwwoofホストのところにお世話になっている。

1件目、2件目共に1週間程滞在した。
1件目はチリから40年程前に移住してきたチリ人のホストファザーと米国生まれのホストマザーの2人暮らしであった。
驚いた事に子供は6人いるらしく長男は既に57才になるそうだ。自分の母親が59才の為ご子息がホストであってもおかしくはない。
そのご子息はハーバードともう一つ世界的に有名な大学の学位(どこかは失念)を所持しているらしく、つい先日までスコットランドの大学で教鞭をとっていたらしい。

ホストに出会ってすぐにいろいろ話しを聞いているとホストマザーは50年近く前に日本を訪れた事があるという話しをしてくれた。8月に行った為蝉がうるさかったらしい。確かにオーストラリアの蝉は日本程元気はない。
そう考えると何故あれほどまでに日本の蝉は巨大な音を奏でるのか不思議になった。

他にも京都で芸者を見て、すき焼きを食したそうだ。印象的だったのはまだまだビルが林立していなかったという一言だ。当時は高度経済成長期だったからだろうが私の知らない日本をまさかタスマニアで聞く事になるとは思わなかった。

ホストは20年以上もwwoofホストを務めているらしく、私以外にも過去に何人かの日本人wwooferがこのホストにお世話になった事があったらしい。9割方は女性だったそうだ。
家に着いた時に過去に滞在したwwooferの写真を丁寧に時系列で整理してあるものを見せて頂いた。

その中には20年前の何人かの日本人が写っていた。
勿論会ったことはない見ず知らずの人のスナップ写真ではあったが、何故か感慨深い気分になった。
写真の色褪せ具合や写真に映る人の純粋な笑顔がそういう気分にさせたのかもしれない。

何せ2ndビザなどない時代の話しである。ここ数年の間に訪れたwwooferはほぼ2nd目的だったらしい。
いや2nd目的であっても別に悪いわけではない。
しかしネットもなく2ndもない20年前となるとまさしくwilling workerに相応しい人達である。
私も既に2ndは保持している為彼らと同じ(2nd目的ではない)状況ではあるが、なんだか同じ目線で語ってはいけないような気がした。

写真を見ながらホストが丁寧に一人一人について思い出を語ってくれた。今でも何人かと連絡を取っているらしく世界中に家族がいるわと誇らしげに語っていたのが印象的であった。


この場所で私に与えられた仕事は主に雑草取りで一日の大半が過ぎた。
これまでにもオーガニック農法を実践しているところを訪れたが、雑草取りはホストにとって生きていく上で生命線である。
雑草も光合成をしてこの世で生きている。
ただ人間にとって必要がないものとして生まれてきてしまった為に常に邪魔者扱いされてしまう存在だ。
ゴキブリ程に忌み嫌われてはいないが、オーガニック農法をやる上では頭の痛い存在である。

彼らも生命を維持する為に土に含まれる水分を摂取して、仲間を増やそうとする。自然の摂理に則ったなんら疑問もない行為である。
しかし野菜のすぐ近くに生えてしまったものは即座に抜き取りの対象となる。
野菜と水分の取り合いをしてしまうからだ。

雑草の中には頭のいいやつもいて先端部分に胞子状の"子供達"をもつものがいて、風が吹いたりした拍子に他の場所に移り住み新たに自分達の子孫を残そうとするものもいる。
poa aquaticaという種のものは雑草取りをしている間はよく見かけた。
彼らも彼らで生きる事に対しては貪欲である。

wwoofを始めた最初の頃延々と雑草取りをしていた時はさすがに嫌気が差した時期があった。
地味な作業の代名詞とも言える雑草取りではあるが、ホストに褒められ自分の仕事を評価してもらってからは無心でやるようになった。
自分という人間は褒められて伸びるタイプであるように思う。いや誰でもそうかもしれない。
もしかするとプライドが高い裏返しかもしれないが、別にそれでもいい。
自分の存在価値をついこないだ出会ったばかりの異国の人間に認めてもらったのだ。こんなにも嬉しい事はない。

お金を介さないwwoofではあるがお金など発生しなくても幸福になれる場面に出くわせる。
楽しみ方を覚えた私のwwoofライフはまだまだこれからも続きそうだ。

写真は雑草取りのbefore/after
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