鰻釣→蒲焼レポート

陶磁器アーティストのホストのところにお世話になって1週間ほど経過したある日近くを流れるHuon riverに立ち寄った際にこの川で鰻が釣れるとホストが教えてくれた。
オーストラリアでウナギなんて今まで聞いた事がない。オーストラリアではスーパーやどこかのマーケットに行ってもウナギを見かける事はないし、そもそもその存在を知っているのかというぐらいこの国ではウナギの存在感がないような気がする。仮に存在を知っていたとしてもあのヌルヌル感と蛇のような容姿が毛嫌いされ完全にゲテモノ扱いされている事がその存在感のなさから伺える。
すっかり興味を持ったのでその数日後にホストと一緒にウナギ釣りに出かけた。やつらは夜行性の為午後8時過ぎから釣りを開始した。
その日は前日に降った雨の影響で川が増水しており流れも速くうなぎが釣れる期待値は高くないように見えた。また寒風も吹きすさみそれがさらに我々の士気を下げているように感じた。
自分も半信半疑で本当に鰻など釣れるのか疑問であったがホストに言われるがまま竿を垂らした。因みにbait(餌)には肉を使用した。(何の肉だったかは失念)
しばらくリールを巻いてはまた垂らすを繰り返すこと30分程だろうか何かが餌に食いついたような感覚があったので急いでリールを巻き上げた。糸をかなり遠くにやった直後に引っ掛かった感触があった為なかなか糸の先が見えてこない。糸の重さは相変わらず重いままだ。リールを巻き上げて数分経っても糸の先が見えてこない。ホストマザーも網を用意して私の隣でスタンバイしてくれている。
リールを巻き上げる事数分、自分の中では巨大鰻と格闘しているつもりだったが、おそらく流木か何かにフックが引っ掛かっているのだろうとの判断がなされ糸は無情にも切り落とされてしまった。網を持って横で待っていてくれたマザーの笑顔が少し悲しく見えた。
しかしそれから5分もしない内にホストマザーが一匹の鰻を釣り上げたのだ。

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本当にウナギが釣れる事に驚きつつも1匹釣り上げた時点で寒さも増してきていたのでこの日は引き上げることにした。それにしても本当にウナギだ。私はホストがどのように捌いて食すのだろうと期待していたがウナギの頭を切り落として燻製にしそのまま食べるという何とも原始的な調理法だった。

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そしてそのまま身をほじくり返してご飯と共に醤油を味付けにして食べた。

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背骨も内蔵もそのまんま残っていたしなにより見た目がグロかった。説明がなければおぞましさを感じずにはいられないものに仕上がってしまっている。やはりウナギは開いて蒲焼にするのが王道だし見た目もいい。今度は自分で捌くしかないと妙に大和魂に燃え数日後に再びウナギ釣りに出かけた。
ウナギ釣り二度目の川はいたって静かで流れも早くない。前回とは比べるべくもなく良好なコンディションである。餌はウールワースで海老を数匹購入した。

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釣っていて分かった事だがウナギは海老の尻尾には一向に食いつかないが身の部分には面白いぐらいに食いついた。やつらはやつらで身が一番おいしい部分である事を分かっているのだろう。
さて結果であるが川の状態と海老を使ったおかげか今回は2匹も自分でウナギが釣れた。ホストマザーも一緒に来ており彼女も1匹釣った為合計3匹の収穫だ。海老の購入価格は2ドル未満でウナギ3匹だから凄まじい費用対効果である。もっともオーストラリアでは価値はないが。
それにしてもウナギを釣り上げた際にウナギをおとなしくさせる為に首の部分にナイフで傷をつけるわけだがそれがなんとも自分にとってはつらい作業だった。私がその点に言及するとマザーからは「誰かがやらないといけない」と人間社会で生きていく上で必要最低限である旨の言葉をかけられた。
頭では理解しているつもりだったがいざ自分が息の根を止めないといけないとなると脳が少し拒否反応を示したように感じた。それでもおとなしくさせる為にナイフを突きつけるわけだが手に残るナイフを刺した時のグリッという感覚やウナギの首から漏れる血を見るとあまりいい心地ではなかった。やはり日頃何とはなしに食べている食べ物には感謝をしなければならない。そんな事を考えさせられた。
家に帰った後に待っているのはウナギを捌くことだが私には海外はおろか日本で魚を捌いた経験すらない。しかしyoutubeの動画とwebsiteを参考にウナギ捌きを見よう見まねで開始した。
参考にした動画→https://youtu.be/pH_WU_SuaAE
website→http://shirayaki.web.fc2.com/sabaki.html
動画やWebの説明だと目打ちが使われていたがそんなものはここにはない。なので終始軍手を嵌めた左手でウナギの頭を抑えて背から切り込みを入れた。

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しかしウナギの生命力というのは凄いものがある。頭を丸々切り落とされても、内臓を剥ぎ取られてもウネウネ動き続けていたのには驚嘆した。さすが滋養強壮に食べられるだけのことはある。
捌いている最中もウナギがウネウネ動き続けるので苦労した。しかし最大の問題は包丁がとにかく切れないのである。一番切れそうな中華包丁を使用してもまるっきしだめで、ほとんど「切る」というよりかは力ずくで皮や身を自分の腕力で「開いている」感じだった。

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初めて捌くのと包丁が切れないのが相まって3匹全て捌き終えた時には日付がすっかり変わってしまっていた。何だか一仕事終えた気分になって少し興奮していたが気分は悪くない。
ウナギの保存は水分を拭き取った上でラップに巻いて冷蔵庫に一晩寝かせた。

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翌朝早速蒲焼にすべく外で炭焼きの準備をし、こんな感じで鰻を並べ焼いてみた。

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それと同時に蒲焼のタレも準備した。こんな田舎、、、というかオーストラリアにウナギの蒲焼タレなどあるはずもないので、赤ワインのアルコール分を飛ばしたものに砂糖と醤油を混ぜたものを蒲焼タレに使用した。分量は適当である。

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炭焼きする事20分程だろうか。良い感じに焼き上がっていたので先ほど作ったタレにつけてご飯の上に乗せて食べてみた。

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肝心の味は悪くない。食感にやや固さがあるのは調理法の影響かもしれないが問題にする程度のものではない。蒲焼タレもうまくウナギと絡んでいてホストも美味いと喜んでくれた。
久しぶりの蒲焼丼をタスマニアで楽しむ事ができた。聞くところによるとウナギを釣り上げて中国に輸出している家族がこの辺にいるとの情報をホストが教えてくれた。オーストラリアではウナギの需要なんてないからいいビジネスになっているのかもしれない。
この辺ではウナギだけではなくクロマグロも釣れると聞いた事がある。レストランでは出せないそうだが個人で釣っている人もいるそうだ。釣り好きにはきっと堪らない場所である事は間違いない。

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