前回記事に登場した壁のない小屋に住む人達。彼らと出会った場所はWA(ウエスタンオーストラリア)州はNarrogin(場所)という場所からさらに内陸に位置するところだったんですがとにかく雨が降らない地域でした。

この場所にたどり着いた時にまず驚いたのは前述の小屋住まいもさることながら、痩せた土壌と降水量の少なさにも関わらずしっかりと野菜を育て、ウォータパイプラインによる政府の水援助にも頼る事なく生活を成り立たせていた事です。

敷地内写真。基本的に土は赤みを帯びており乾燥の見た目度合いを助長している
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ホスト曰くこの地域の年間降水量は約350mm程度。大体一年の内7~8ヶ月程度は雨にお目にかかる事はないそうです。自分が滞在していた時は5月下旬とこちらでは雨季に入りかけていましたが、滞在2週間中雨を見た日は一日あっただけで、それも申し訳ない程度にポツポツ降った程度。
乾燥具合も激しくこういう場所にやってくると自分の手の甲も潤いがなくなりあかぎれが散見されるようになりました。(この場所を離れたら改善しました)

こんな気象条件の下で暮らしているわけなので水は貴重な資源です。
ここにはもちろんシャワーなどはなく、体を洗うときはこのようなゴム製のバケツに、沸かしたお湯と水を入れて温度を調節し、お湯を入れ物ですくって体にちょこっとずつかけていきます。

シャワールームならぬお湯かけルーム
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中はこんな感じ
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旅慣れた自分は一日シャワーを浴びない事もざらにありますし、毎日体を洗わないと体が臭うというなる事もないとは思ってるのですが、唯一毛量が多いので頭皮にお湯が馴染むまでに結構なお湯を必要としたのが少し苦労しました。

またトイレも水洗トイレという水喰い虫ではなくコンポストトイレ。
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トイレの外観
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用を足したらここで手を洗う
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自分のウーフ統計値では大体3軒に1軒の割合でコンポスト式のトイレに出くわします。
自分の手を煩わすことなくお尻を洗ってくれる国から来た自分にとってはコンポスト式トイレとの邂逅は最初は「うげっ」となりましたが、慣れれば楽です。

オガクズを都度上からかぶせておいて時間が経てばバクテリアの作用で肥料に変化して、土壌の改善などに役立ちますので、いいことだらけです。このような節水努力によって年間降雨量350mmという貴重な水資源を無駄にすることがなくなります。

写真は雨水を貯めておく巨大タンク。田舎にいけば一家に一台はある。
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ちなみにこちらのオーストラリアの降水量マップを見てみるとオーストラリアの8割以上の地域で年間降水量は1000mm以下。真ん中あたりには50mmぐらいのところもありますね。
だから年間350mmといえどもまだまだ雨には恵まれてるといえば恵まれてるのかもしれません。でもこの350辺りが普通の人間が自活できる最低ラインのような気もします。

それと聞くところによるとオーストラリアの国土面積は日本のそれの20倍以上あるにも関わらず、人口の9割以上は海岸沿いに住んでるという話を聞いた事があります。それは内陸に行けば行くほど雨が降らなさ過ぎて生活を営むのが厳しすぎるからだそうです。
そのようなところに住めるのは水の在り処を発見できる知恵を持ったアボリジニぐらいだとか。一見土地が余りまくっているように見える国です(実際に余ってるんでしょう)が、その大半の地域は人が住み着くには適さない地域みたいです。

水が少ないので土壌も痩せてます。
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上の写真はホスト夫妻がこの場所に移住してきた当時の土壌状態ですが潤いのかけらもありません。なので彼らがまず最初に行ったのは土壌の改善と防風林の作成でした。防風林は何で必要かと言いますと、隣(と言っても数百メートル先)の農場からケミカル物質が飛んできて自分たちの野菜やらに悪影響が出ないようにする為なんだそうです。

彼らは移住初年度に約2000本にも及ぶ植林を実行したそうですが、1年後に無事に生き残った木はたった80本だったそうです。でも諦める事なく毎年毎年植林を続け移住から5年後には目標数値に到達したと言っていました。

同様に野菜を育てている場所もどう考えても不向きな土壌に見えますが、毎年毎年土壌改善に励むことで今では美味しい野菜が取れるまでに成長してます。

活きのいいスプリングオニオン
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野菜ガーデン
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ワインぶどうの蔓。将来的にはワインぶどうの蔓を利用した天然の屋根を作成予定。その土台となる支柱を植えるお仕事等もお手伝いしました。
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サボテンもある
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ある晩に彼らから移住当初に取った写真を見せてもらった事があったんですが、よくぞここまで!と思えるぐらいに最初は土壌状態も良くないし一面岩だらけだしで周りには本当に何もなかったんだそうです。
彼らは最初Van(ハイエースみたいなやつ)を改良してこの場所に住みつき、当然水もないのでポリタンクに詰め込んだ水を持参して小屋を建てたり転がってる大きい岩をどかしたりしてたんだそうです。

人生の目標≒生きる事というのが一直線で結べてしまいそうになるほど最初は過酷な状況(水が枯渇すれば数キロ先の近隣まで水を貰いに徒歩で行ってたとか)だったそうなんですが、話を聞いていると彼らは周りの人達には凄く恵まれてるんですね。

ホストファザーは元大工という事で仲間が結集して小屋作りを手伝い、その奥様方がご飯の準備をして、、、というのを何日もやって、どんどん形になっていく写真の変遷を見せてもらいながら最後に小屋が完成した記念に撮られた集合写真を見た時は当事者ではない自分ですら感動してしまいました。

「辛い時期で逃げ出したくなったけど、友人達のお陰で楽しく過ごせた」という言葉通り写真からもそれが伝わってきました。

世で大成した人も下積み時代の苦労話なんかを楽しそうにしてますし、この話を聞いて何がなんだかよく分からないけど必死こいて手掻き足掻きしてる時期が実は一番楽しいんじゃないか。そんな気にさせられた話を聞けたように思います。


写真はある日の夕暮れ時。上空には月が
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