つい先日までヘルペックス(Helpx)を利用してニュージーランド人のご家族と共に1週間程生活をしていましたが、ホストファミリーの人柄、ロケーション、個人的な満足度全てにおいて満足のゆくものでしたのでその様子をご紹介したいと思います。
オークランドの北約300km
ホストとの待ち合わせ場所はニュージーランドの最大都市オークランドから北へ約300km程向かったタイパという小さな町でした。仮にオークランドが東京だとするなら北へ東北自動車道を利用して約300km進むと福島市あたり、西へ東名高速を利用して向かうなら愛知県の蒲郡市辺りが同等の距離間隔といえば分かりやすいでしょうか。
タイパはNZ北島のほぼ先端部分に位置。最大都市オークランドからバスで5時間。
人里離れた山奥へ
(ホストファミリーが住む場所へ向かう道中の4WD内から撮影。荒れた道を突き進む)
(家にたどり着くまでには一度小さな川を渡るというワイルドさ)
まずお世話になる場所にたどり着くにはタイパからしばらく走りさらに上の写真のような荒れた道をひたすら20分ほどかけて車で走らなければなりませんでした。迎えに来てくれたホストファザーのジェームスによるとここに住むためには大きな岩をどかしたりして道を切り開く必要があったとの事で当時は友人から重機を借りて彼が1ヶ月程かけて道を開拓した事を教えてくれました。4WDで突き進んだのですが割りとアップダウンのある道で途中に小川を渡ったりと冒険心をくすぐられる、ほどよく荒れた道でした。
オフグリッド生活
(迎えに来てくれたホストファザーのジェームス。日本での3年間の滞在経験有り)
(ホストファミリーが滞在する場所。家の前には素晴らしい景色が)
上記写真からも推測できるかと思いますが山の中を突き進んできただけあってホストファミリーが住む場所は手付かずの自然が残る丘の上に家が建つという最高のロケーションに位置していました。この場所には小さな子ども2人を含む4人と1匹の犬という家族構成で、生活スタイルは「オフグリッド」という電力会社と契約せずにソーラーパネルを自ら設置して太陽光のみで必要最低限の電力を確保し、大抵の野菜や果物も敷地内で確保、水は近くを流れる小川から確保し「自分達が消費する分は自分達で極力賄う」という限りなく自給自足に近づいた、地球にも優しい生活スタイルを営んでいました。
(小さなソーラーパネル。電力が足りなければ発電機を利用する場合も)
小川の水が飲める
(皿洗いに利用していたエコフレンドリーな洗剤)
ホストファミリーが住むニュージーランドの北島先端部分は「Far North」というエリアなのですが、ニュージーランドの中でも手付かずの自然が残る数少ない場所だそうでして近くを流れる小川から汚染されていない清浄な飲み水を毎日飲む事ができました。
ただ都市部に見られるような排水設備なぞありませんので生活排水には化学物質が含まれていない洗剤等を利用し、体を洗う石鹸なども一般のものではなく自然との親和性が高いものを使う事で手付かずの自然と共生していました。またタロ芋という里芋の仲間の芋を排水パイプの吐出口付近に植えておく事で水の浄化作用があるらしく、タロ芋も育つし水も綺麗になって地中に還るしで一石二鳥です。
(排水口付近に植えられたタロ芋。水の浄化作用があるという)
(醤油とチキンだし、ターメリックで調理後のタロ芋。里芋同様根菜部分を食べる。)
誰がどのようにして作ったかがわからないものは極力食べない
敷地内にある野菜達。
バジル
チャイブという細ネギ
(タマリロという南米由来のツリートマト。見た目はトマトっぽいが味はフルーツに近い。%82%BF%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%AD” rel=”noopener noreferrer”>wikipedia)
(竈を利用して調理されたじゃがいもメインの料理。ひまわりのタネを炒ってるので芳ばしい香りとカリカリの食感、じゃがいもの柔らかい食感、フェタチーズとのバランスが絶妙の一品。)
空気が美味しい
(ひと仕事を終えジンジャーワインを空気の美味しい外で嗜む)
(カボチャや人参、バジルペーストを加えたご飯。美味)
この場所だけにとどまりませんが南半球に位置するニュージーランドやオーストラリアに来ますと空気が澄んでいて文字通り空気の美味しさを全身で感じる事がよくあります。都市部では排ガスなどが気になってしまいますがひとたび田舎に来れば済んだ空気を堪能できまして、お世話になったこの場所は特に山奥という事もありその美味しさというのが際立っていました。だから食事時などは天気が良ければ室内ではなく常に外で食べていたいのですね。空気も美味しいし食事も美味しいというダブルで美味しさが味わえてしまいます。
太陽と共に生活する
(日没直後。まだ少し明るい)
オフグリッドなので無駄に電力を消耗してしまわないよう日没後は部屋の明かりは点けずに(そもそも電灯などないですが)、日没と共に毎晩2人いる子供達は寝床に向かっていました。時期的には秋の夜長という事で自分が滞在していた頃は夕方6時30半過ぎにはあたりは暗闇に包まれていたのですが、その後の時間というのはロウソクの火を明かりに読書に耽り、「眠たくなったら寝る」という現代人にはなかなか実現できそうにないような環境でお陰様で毎晩ぐっすり眠る事ができたように思います。
自分個人としては寝る前はいつもスマホの画面をいじりながらブルーライトで目がずっと冴え続けるという現代人特有の過ちを犯してしまうのですが、そもそも電力の確保も難しくスマホの電池ももたないしでやる事と言えば読書ぐらいだったのですが、やはり人間の体は太陽の動きと共に生活した方がしっくりくるのだなとこの生活スタイルを通して実感しました。いい意味でいろいろと不便(WIFIがなかったり、携帯電波も弱かったり)なので、クリエイティブな仕事をしている人達にはもってこいの場所なのかなと思います。
そこに居るだけで無条件に気持ちのいい場所
この場所でお世話になるのを決めた決定打というのがヘルペックスのプロフィール写真でした。写真を見ておそらく「そこに居るだけで無条件に気持ちがいい場所」に滞在できるのではないかという直感が働いたのですが、その直感は見事に正解でして、正直これが自分がこの場所に一番追い求めていたものでした。
自分の場合は「鳥や虫の鳴き声など自然由来の音しか聞こえず人工的な光もないような夜になると満天の星空に覆われるような場所」に行くと大抵「そこに居るだけで無条件に気持ちよくなる」ようなんですが、これはおそらくオーストラリア時代に見渡す限り地平線に囲まれた場所に住む人達と生活をしたのが大いに自分の五感に影響を及ぼしたのではないかと考えています。まあ自分個人の御託はともかく昼間の雰囲気の動画(30秒程)を撮ってますので少しでもこの場所の雰囲気を堪能して頂ければと思います。
(なお音が小さいので極力最大までボリュームを上げて頂いた方が虫の鳴き声なども聞こえて雰囲気を味わえると思います。)