英語を使った仕事をしてみた雑感とリアルな現実(1)


「留学を終えたら英語を使った仕事をしてみたい」

と英語圏に留学に来る多くの人はそう思うと思いますし、自分もそうでした。今から4年程前にオーストラリアに行く前までの自分を振り返ると英語でコミュニケーションなんかろくにした事もなく、いわゆる英語幻想=”英語圏に半年から一年ぐらい滞在すればペラペラになって英語を使ってオフィスで外人に囲まれて仕事ができる”と思い抱いていた意識高い系だけど残念ながら現実を知らない日本人でした。

だからTOEICの対策本やらベラベラBook(だったかな?香取慎吾のやつ)などの英語教材本を買ってはTOEICを受験し、なかなか点数が上がらない中700点だか800点だか取ろう人がいるもんなら神のように思えたものですが、どうにも勉強なんて長続きせず意識高いままでいつも終わってました。まあいい具合にその手の英語産業のマーケティングにしてやられてるわけで、役に立たない教材やら攻略本を数冊買う程度で被害は収まってますんで、そんな甚大じゃないのが救いです。

で、4年後の今それまで不可触賤民扱いの一介のワーホリという立場からフルタイムのオフィスワークの仕事を得て、自分の上司がイギリス人で、日本でろくに着たこともなかったスーツとやらを着てAucklandのとあるビルの5階にある新調されたオフィスに毎日出勤して、白人やらアジア人やらインド人やらマオリや(NZの先住民)らに囲まれて、英語で指示を聞きながらミーティングに参加したり、発言したりして仕事っぽい事してるわけなんで、4年前に思い描いてた事は叶ってるっちゃ叶ってます。

で、それでどうなの?というと、過去記事にも書いた通り言語部分で言えばTOEICのようなかくし芸レベルの英語が通じるような現場ではないですし、まあ入社当初から今に至るまで未だに苦労してます。一応今の仕事自体業界の中ではエントリーレベルなのでそこまで高度な職務内容が求められてるわけではないのですが、少なくとも仮定法過去完了だとか定冠詞と不定冠詞を使い分けて会話の中ですらすら言えたとしても誰も「おーすごい」なんて褒めてくれるような環境ではないです。

雑感

英語で苦労はしつつも1年以上今の会社で働いた上で発見した事と言えば、言語は違えど組織の中で働く以上組織の中で求められる事は日本でもNZでもどこでも一緒だという至極当たり前の感想だったりします。純然たる言語としての英語力も勿論大事なのは大事なのですが、もっと大事なのは日本の会社でも必要とされるような事です。

基本的なところで言えば、自分の業務(営業、開発、経理、総務、マーケティング、、色々ある)を遂行して行く上で結果を出していくのは当然として、何か問題が起こった時にはその問題の何が問題で、一体何を改善すべきで、今どういう影響が出てきて、これを放っておくとどういう影響が考えられるか等をちゃんと筋道立てて上司にホウレンソウする事や、日報にしても毎回10分から15分以内でポイントを押さえて報告したり、同僚との付き合いにおいてもちゃんと挨拶できて他人を気遣えて相手が接しやすいようなオーラを自分から出したり、プライベートに突っ込み過ぎず座持ちの良い如才のなさだったり、自分の能力を誇示するだけでなく経験の浅い若手から信頼されるぐらいの力量を持ってる事や、言うべき時は上司に対して物怖じせず、かと言って喧嘩腰になる事なく上申できるだけの度胸と落ち着きがあるか、、

等々日本の会社員なら当たり前に考えてる事ができるかどうか。まずこの辺が怪しいと言語以前の部分で苦労する(言語ではもっと苦労するが上のような事を意識して行動するだけで全然結果は違う)。

基本的な部分が履修済みでこちらでもっと上を目指すのであればソフトスキルと呼ばれるようなハードスキル(視覚化可能なスキル:プログラミングとかPCスキルとかその手の職人系技術)ではない対人折衝系の技術も持ち合わせてるのが望ましいと思います。数あるソフトスキルの中で個人的に特に一番あればいいなと思うものは堅く表現すれば対人関係構築能力です。もう少し砕けた言い方で言うと、誰とでもコミュできる能力とでも言えばいいでしょうか。

当然の事ながら自分で起業して自分がCEOにでもならない限り組織の中で働いてる以上自分一人でどんどん仕事を推し進めて行く事なんてできないですし、よりもっと権限のある仕事をしようというのであれば社内で昇進なり転職なりしないといけないですが、この誰とでもコミュできる能力があれば、同僚は元より自分の上司からクライアントに至るまで様々な人と円滑な関係を構築し時にはサポートや支援を受けながら仕事や自分が進みたい道へ進む事を推進してくれます。言語ありきのスキルなのは間違いないですが、人と接する時のオーラというのか、ぎこちない雰囲気にさせず、議論を呼ぶようなトピックにも触れず如才なく誰とでも振る舞う事ができる技術なわけですが、こんなの誰にでも備わってるものではないですし、元々の素養があるか仕事を通して培われてこないと中々発揮できない能力だと思います。
この誰コミュ(めんどいので略します)を持ってる事でもたらされる利益としては、まず相手を不快にさせたりする事が少なく、また円滑なコミュでもって自分に対して好印象を抱いてもらう事もできたりするわけですから、重要な社内のキー情報を得る可能性が広まったり、より多くの人間を味方につける事ができるので仮に自分が不利な立場に追いやられるような事があった場合にしても私情を挟んで有利な立場で問題を解決してもらえる可能性が高まる。

また組織の中で働く以上働く相手は自分にとって居心地が良かったり、付き合ってて気持ちの良いやつだったりした方がいいに決まってますから、もしかするとクライアントより引き抜きがあったり転職話が容易に舞い込んできたりする可能性も高まる。

個人的な経験から言ってもこっちは転職社会だったりするわけで、日本のそれよりも誰コミュは非常に重要だと感じます。自分の上司のイギリス人もクライアントの接待時はかなり卒なくやりこなしてるし、良い関係を築くの上手いよなーと傍から見てたりもします。

上のスキル以外にも何があっても納期を守る能力だったり、絶え間なくPDCAを回して改善を測って自己を高めていったり、CEOの立場となって会社の問題点や大きな利益をもたらしてくれるような提言をしてくれるような能力、というか洞察力のようなものとかも重要だと思うのですが、さて言語の問題は確かにあれど、上に書いた事は言
語というよりかは一人の社会人として求められる基本的かつ使える人間として会社に利益をもたらしてくれる必須条件(もっとあるでしょうけど)だとも思うわけで、会社に利益をもたらしてくれる使える人間になっておけば大体どこでも上手くやっていけたりすると感じます(実際に昇進できたり転職できたりするかは別ですが、でもあればあるほど有利に働くのは間違いない)。

てか当たり前に考えられてる事なわけですが、んでも「英語を使った仕事をしてみた雑感」というタイトルなので結局当たり前の事に気づいたというオチではあります。一応これいきなり英語でやれって言うんだったら激ムズですけど、日本で今もし働いてるなら次の日からでも鍛えられる部分だと思います。一朝一夕で身につくものではないですし元々の素養も関係するだけに時間はかかるでしょうけど、でも「人と接しやすいオーラ」なんてのは出そうと思っても出せないです。エッセンス(どういう話題がいいか等)は応用できると思いますけど。あとは言語を最低3年−5年ぐらい頑張ればそれなりのところまでいけるはずです。てか行けなきゃおかしいと思えないとやっていけないと思います。
とまあここまで書いておいて何ですが、自分個人としては仕事上での対人関係なんて所詮上っ面で済ませる事が多いわけで個人的にうんざりする部分もあり書いててムズムズしましたが、仕事は仕事、自分の理想は理想という事でまた別の話だったりします。

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